東大理系数学2026 第3問の解説
球面・重心から、弦の通過範囲を求める
空間図形の問題でも、すべての点を三次元のまま追う必要はありません。この問題では、重心の条件から一つの高さを固定し、平面上の「円と直線が交わる条件」に変えると、通過範囲を説明できます。
結論:中点 M の軌跡は (x − 3)² + y² = 4 から (5, 0) を除いたもの。線分 PQ の通過範囲は、x² + y² ≦ 25 かつ (x − 3)²/4 − y²/5 ≦ 1 を満たす点の集合から (5, 0) を除いたものです。以下では、式の導出と「逆に、その点が必ず通れること」の両方を示します。
対象は東京大学が公表した2026年度数学(理科)第3問です。大学公式の問題公開ページの「数学(理科)」、問題冊子8ページを参照しています。条件を要約し、解説・図・動く教材は黒田塾が独自に作成しました。大学公式の解答・採点基準ではなく、東京大学による推薦や本サービスとの提携を示すものでもありません。
1.重心の z 座標から、R の高さが決まる
条件を整理します。原点 O を中心とする半径5の球面上に、互いに異なる P、Q、R を置きます。P と Q は xy 平面上にあり、三角形の重心は G(2, 0, 1) です。求めるのは、PQ の中点 M の軌跡と、線分 PQ が通る範囲です。
P と Q の z 座標は0です。重心の各座標は3頂点の座標の平均なので、R の z 座標を r とおくと、(0 + 0 + r)/3 = 1。したがって r = 3 です。
R は半径5の球面上にあるため、R の x、y 座標を a、b とすれば a² + b² + 3² = 25、すなわち a² + b² = 16。R は高さ3の平面上の、半径4の円を動きます。
R = (4 cos θ, 4 sin θ, 3)
M = (P + Q)/2 = (3G − R)/2
= (3 − 2 cos θ, −2 sin θ, 0)
ここでベクトルの式 P + Q + R = 3G を使いました。R が決まれば M が決まるので、P と Q の座標を別々に何文字も置く必要がなくなります。
2.中点の候補は円。ただし、最後の1点を除く
M = (u, v, 0) と書くと、(u − 3)² + v² = 4 です。これは xy 平面上の中心 (3, 0)、半径2の円です。ただし、ここまでで分かったのは「中点なら、この円の上にある」という必要条件だけです。
P と Q が異なるための条件
P と Q は、xy 平面上の円 x² + y² = 25 の上にあります。その異なる2点を結ぶ弦の中点は、円の内部にあります。したがって、u² + v² < 25 が必要です。
M の候補円の上で原点から最も遠い点は (5, 0) で、距離は5です。それ以外の点では距離が5未満になるため、除く点は (5, 0) だけです。
逆に、残りの点は本当に実現できるか
候補円の (5, 0) 以外の点 M を一つ選びます。M は半径5の円の内部にあり、原点とは一致しません。M を通り OM に垂直な直線を引くと、円と異なる2点で交わります。それを P、Q とすれば、中点は M です。
さらに R = 3G − 2M と定めれば、z 座標は3、球面条件も成立します。P、Q の z 座標は0なので、R はそのどちらとも異なります。これで、条件を満たす3点を実際に作れました。
M の軌跡:(u − 3)² + v² = 4
ただし M ≠ (5, 0)
3.弦を動かすと、除外点の意味が見える
図の円は半径5、点線の小さい円は M の候補となる円です。θ を変えると、それに対応する M と弦 PQ が動きます。背景の塗りつぶしは、次節で証明する通過範囲です。数値表示は小数第3位までの近似です。
180°では M = (5, 0) となり、弦の長さが0になります。P ≠ Q に反するため、この配置は不可です。入力の保存・サーバー送信はしません。
いくつかの弦を見て「このあたりが塗れそうだ」と気づくことと、全体の範囲を証明することは別です。次は、任意の点 T が通過範囲に入るための条件を求めます。
4.固定した点 T を通る弦が「存在する条件」を求める
直線上の条件と、線分上の条件を分ける
T = (x, y) を固定します。PQ が T を通るかどうかを、M = (u, v) が存在するかどうかで調べます。弦 PQ を含む直線は M を通り OM に垂直なので、内積を使って次のように表せます。
(T − M)・M = 0
つまり ux + vy = u² + v²
これは弦を延長した直線上の条件です。線分 PQ の上にあるためには、さらに T が円板内にあること、すなわち x² + y² ≦ 25 が必要です。円板とこの直線との共通部分は、ちょうど弦 PQ になります。
M の円の式を使って、二次式を一次式にする
M の候補円 (u − 3)² + v² = 4 を展開すると、u² + v² = 6u − 5。これを先ほどの内積の式に代入します。
ux + vy = 6u − 5
(x − 6)u + yv + 5 = 0
今は T の x、y を固定しているので、この式はu、v の平面における直線です。求める条件は、中心 (3, 0)、半径2の円と、この直線が交わることに置き換わりました。
円の中心から直線までの距離が、半径以下
中心 (3, 0) から直線 (x − 6)u + yv + 5 = 0 までの距離は、|3x − 13| / √{(x − 6)² + y²} です。分母が0になる T = (6, 0) は半径5の円板の外なので、ここでは問題になりません。
|3x − 13| ≦ 2√{(x − 6)² + y²}
⇔ (3x − 13)² ≦ 4{(x − 6)² + y²}
⇔ 5x² − 30x + 25 − 4y² ≦ 0
⇔ (x − 3)²/4 − y²/5 ≦ 1
絶対値と平方根はどちらも0以上なので、二乗は同値変形です。「二乗したら余分な点が増えていないか」という確認も、この理由で済みます。
5.円板との共通部分と、(5, 0) の除外
以上から、まず x² + y² ≦ 25 と (x − 3)²/4 − y²/5 ≦ 1 の共通部分が候補になります。しかし、円と直線の交点が M = (5, 0) しかない場合を除かなければなりません。
M = (5, 0) を内積の条件に入れると、5x = 25 なので x = 5。さらに円板条件を満たすには y = 0 です。したがって、除外すべき T も (5, 0) だけです。
逆に、二つの不等式を満たして (5, 0) ではない T については、直線と中点の候補円が交わり、利用できる M が得られます。その M を中点とする弦を作れば T を通ります。これで必要条件だけでなく十分条件も確認できました。
図示のために、境界の交点も求める
円 x² + y² = 25 と双曲線 (x − 3)²/4 − y²/5 = 1 を連立すると、3x² − 10x − 25 = 0。x = 5 または x = −5/3 です。交点は (5, 0) と (−5/3, ±10√2/3) になります。
境界のうち、二つの不等式を満たす部分は含みます。ただし (5, 0) だけは白抜きです。原点 (0, 0) は双曲線の不等式を満たさず、範囲に入りません。一方、(1, 0) は入ります。こうした簡単な点で、塗る側が逆でないか確認できます。
6.記述答案では、この順番でまとめる
R の z 座標は3であり、R = (4 cos θ, 4 sin θ, 3) とおける。重心条件より、M = (3 − 2 cos θ, −2 sin θ, 0)。よって M は円 (u − 3)² + v² = 4 上にある。P ≠ Q より |OM| < 5 であり、M = (5, 0) を除く。逆に残りの各 M に対し、M を通り OM に垂直な直線と半径5の円との交点を P、Q とすれば、条件を満たす。
T = (x, y) が線分 PQ 上にあるための条件は、x² + y² ≦ 25 と、ある利用可能な M = (u, v) について ux + vy = u² + v² が成り立つこと。中点の円から u² + v² = 6u − 5 なので、直線 (x − 6)u + yv + 5 = 0 と円 (u − 3)² + v² = 4 の交点の存在を調べればよい。
中心と直線の距離から |3x − 13| ≦ 2√{(x − 6)² + y²}、すなわち (x − 3)²/4 − y²/5 ≦ 1 を得る。M = (5, 0) に対応する円板内の T は (5, 0) のみであり、これを除けば逆の構成も可能である。したがって求める範囲は、二つの不等式が表す共通部分から (5, 0) を除いたもの。図では境界を含め、(5, 0) は白抜きとする。
これは説明用の答案例です。大学が公表した公式解答や配点別採点基準ではありません。実際の答案では、図示も忘れずに行います。
7.解説を閉じる前に、3つだけ自分で説明する
なぜ、P と Q を別々の座標で置かなくてもよいのですか。
重心条件から P + Q = 3G − R が分かり、その半分が中点 M だからです。さらに、円と中点 M が決まれば弦を含む直線も決まります。必要なのは P と Q の個別座標ではなく、中点の位置です。
円と直線の交点条件だけでは、なぜ足りないのですか。
その条件で分かるのは、T が弦を延長した直線に乗ることだけです。T が線分 PQ の外側にある可能性を除くため、半径5の円板に入る条件が必要です。
(5, 0) が不等式を満たすのに、なぜ除外するのですか。
対応する中点 M が (5, 0) になり、弦の長さが0になるからです。P と Q が同じ点となって、問題の「相異なる3点」という条件を満たせません。
式を追えたことと、最初の方針を自分で選べることは別です。次の復習では「重心 → 中点 → 弦の直線 → 交点の存在条件」という流れを、本文を見ずに再現してください。
方針の立て方を、実際の答案から確かめる
黒田塾では、答案のどこで止まったかをもとに、知識の不足・条件整理・解法選択を分けて扱います。この問題の解説が分かることだけで、志望校への合格可能性を判定するものではありません。
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