数学の解説は分かるのに、自力で解けないときの復習法
数学の解説を読むと納得できるのに、答案用紙を前にすると最初の式が出てこない。この状態では、「解説をもう一度読む」だけでなく、条件を見て解法を選ぶ部分を切り出して練習します。
まず確かめるのは、計算力だけではありません。①条件を整理する、②方針を決める、③計算する、④答えが条件を満たすか確認する。このどこで止まったかを、短い例題で見分けます。
対象は高校数学の二次関数を学習した方です。以下は説明のために制作したオリジナル問題で、入試過去問や受講生の答案ではありません。制作にはAI支援を使用しています。短い確認問題だけで学力や合否を判定するものではありません。
1.「解けない」を、答案上の四つの場所に分ける
| 止まる場所 | 答案で確かめること | 次に行う練習 |
|---|---|---|
| 条件の読み取り | 変数が動く範囲や、求めるものを落としていないか。 | 問題文を「与えられた条件/求めるもの」に分けて書く。 |
| 方針の選択 | 解説の最初の式を、なぜ使うのか説明できるか。 | 計算を始める前に、使う形とその理由を一文で書く。 |
| 式の処理 | 展開、符号、分数計算のどの行で崩れたか。 | 止まった計算だけを取り出し、途中式を残して解く。 |
| 条件と答えの照合 | 求めた値が定義域に入るか、境界を含むか確認したか。 | 最後に条件を読み直し、除外点や等号の扱いを点検する。 |
一つの問題で複数の課題が重なる場合もあります。「自分には発想力がない」とまとめず、最後に自力で書けた行と、次に書けなかった行を残してください。そこが質問の出発点になります。
2.例題:平方完成を「できる」から「選べる」へ
問題A:範囲が決まっているとき
実数 x が 0 ≦ x ≦ 3 を満たすとき、f(x) = x² − 4x + 5 の最小値と最大値を求めてください。また、それぞれをとる x の値も答えてください。
計算前の問い:何を調べるために、式をどの形に変えますか。答えを見る前に一文で説明してください。
解答と、方針を選ぶ理由を読む
方針:二次関数の最小・最大を、頂点と定義域の位置関係から調べたいので、頂点が読み取れる形に平方完成します。
f(x) = x² − 4x + 4 + 1 = (x − 2)² + 1
二乗は0以上なので、定義域の制限がなければ x = 2 で最小になります。ここで終わらず、2が指定された範囲0 ≦ x ≦ 3に含まれることを確認します。したがって、最小値は1、そのとき x = 2 です。
最大値は、x と2の距離が最も大きい場所でとります。この区間では、端の0と3までの距離がそれぞれ2と1なので、0の方が遠いと分かります。実際に f(0) = 5、f(3) = 2 と代入しても確認できます。最大値は5、そのとき x = 0 です。
誤答の分かれ目:「二次関数だから平方完成」とだけ覚えると、何を確かめるための変形なのかが抜けます。「頂点が範囲内にあるか」「頂点からどちらの端が遠いか」を判断するための変形だと言い直してください。
ここで確認したいのは答えの1と5を覚えたかではありません。解説を閉じて、「最小値の候補として頂点を見る理由」と「最大値について両端を比べる理由」を説明できるかです。
3.条件を一つ変える:右端が文字になったら何が変わるか
問題B:0 ≦ x ≦ a、a > 0 のとき
実数 a > 0 に対し、0 ≦ x ≦ a の範囲で、同じ関数 f(x) = x² − 4x + 5 の最小値・最大値と、それぞれをとる x の値を求めてください。
考える順番:①頂点の位置は変わったか。②頂点が範囲に入るのはいつか。③左右の端の値が等しくなるのはいつか。
場合分けの境目を、一つずつ確かめる
関数は同じなので、平方完成した形は f(x) = (x − 2)² + 1 のままです。変わったのは、x が動ける右端です。
最小値は、頂点が入るかで分ける
0 < a < 2 では、頂点の x = 2 まで動けません。範囲内では右へ進むほど2との距離が小さくなるため、右端の x = a で最小になります。a ≧ 2 では、頂点そのものが範囲に入ります。
| a の条件 | 最小値 | そのときの x |
|---|---|---|
| 0 < a < 2 | (a − 2)² + 1 | x = a |
| a ≧ 2 | 1 | x = 2 |
最大値は、両端の値の差で分ける
左端の値は f(0) = 5、右端は f(a) = a² − 4a + 5 です。どちらが大きいかは、差を取ると調べやすくなります。
f(a) − f(0) = a² − 4a = a(a − 4)
a > 0 なので、差の符号は a − 4 の符号と同じです。a = 4 のときは両端の値が等しいため、答える x は二つあります。
| a の条件 | 最大値 | そのときの x |
|---|---|---|
| 0 < a < 4 | 5 | x = 0 |
| a = 4 | 5 | x = 0、4 |
| a > 4 | (a − 2)² + 1 | x = a |
間違えやすい点:最小値の場合分けの境目は2、最大値の境目は4です。「頂点が入る条件」と「両端が等しくなる条件」は違うので、同じ境目を機械的に使ってはいけません。
検算:a = 3 を入れると問題Aに戻り、最小値1・最大値5になります。a = 4 では f(0) = f(4) = 5。場合分けの境界も、実際に代入して確かめられます。
4.解説を閉じた後、何を再現するか
問題Bを復習するなら、まず式を全て書き写すのではなく、次の三つを白紙に書いてみてください。
- 平方完成する理由と、頂点の位置。
- 最小値で場合分けする条件と、最大値で場合分けする条件。
- 等号のとき、値をとる x が一つか二つか。
この三つを説明できてから、計算と答案をつなげます。途中で止まったら、該当する一段階だけ解説を見直し、もう一度閉じて試します。読んだ直後にできても、時間を空けたときに止まるなら、その場所を次の復習課題にします。
類題では、例えば関数を g(x) = x² − 6x + 11 に変え、0 ≦ x ≦ b、b > 0 として、境目がどう変わるかを説明できます。
類題の確認用解答
g(x) = (x − 3)² + 2 なので、最小値の場合分けの境目は b = 3。0 < b < 3 では x = b で (b − 3)² + 2、b ≧ 3 では x = 3 で2です。
g(b) − g(0) = b(b − 6) より、最大値の境目は b = 6。0 < b < 6 では x = 0 で11、b = 6 では x = 0、6 で11、b > 6 では x = b で (b − 3)² + 2 です。数字を覚え直すのではなく、頂点と端点を使って判断してください。
5.自分の教材で止まった場所を、次の課題にする
今使っている問題集から、解説を読むと分かる問題を一つ選びます。自分の答案と解説を並べ、「何の条件を見落としたか」「なぜその式を選べなかったか」を一行で残してください。いきなり難しい問題集へ進むより、質問の対象が具体的になります。
数学だけでなく、模試全体の復習を整理するなら、模試の復習・失点原因整理シートが使えます。取り組む量を一週間に収めるには、学習計画の時間計算と記入シートを使ってください。
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